指力

粘土がブチブチちぎれる。
摘んで引っ張ってビヨ〜ンて伸ばそうとしても、
2・3cm程の大きさでブチブチちぎれる。
今日気付いた訳じゃなくて、ここ何日か前辺りから。
何気に尋ねてみた。


「なんで粘土こんなに切れるの?」
「うぅん…何でですかね…?」


何この返し。
聞いてんのコッチだろうが。


「これならどうですかね…?」
と、違う粘土を持ってきて、蓋を開けだし、まず自分でやりだした。


「んん…」
「…」
そして蓋して片付けた。


何片付けてんの。
あんたやっても意味ないじゃん。
つうかどうだったんだよ。


「にしても今日は随分切れますね〜」
「いや今日っつうかここんとこ毎回なんすけど、もしかして初めて気付いたんすか?」
「あ、いや…」
「…」


何なのもう。
毎度傍で何見てんのさ。
互いに嫌な思いしても変わってないじゃんアンタ。


一通り終わって帰る前に、さっきの粘土を俺もやってみた。
その頃になると担当の彼は他の患者さんみてて離れてたので、そこのリハ室のエライ人に聞いた。


「この色って普段のと強度差どれくらい?」
「ソレはメーカー違うけど同じ位だよ。」
「何日か前からなんだけど、なんで粘土こんなに切れるの?」
「多分、摘んで引っ張る時の瞬間的な力が付いてきてるんじゃない?♪
 私普段見てる訳じゃないから絶対とは言えないけど。」
「へぇ、なるほど。」
「(担当には)聞いたの?」
「一応はね(笑)
 毎度の如く質問に答えなんて返ってきませんでしたけど〜(笑)
 毎回横で見てるはずなのに『今日は〜』だってさ(呆れ笑)」


まぁ、その人は以前の話し合いにもいて、俺が担当に対して連ねる幾つかの不満等の中に、
「質問しても答えがない。」ってのが含まれてるのも知ってるし、上司という立場上、
彼の変わりにゴメンって感じで形だけでも頭下げてくれたから今日は文句言わずに帰りましたとさw